今年から本格始動が見込まれているドローン配送。日本でも徐々に実証実験が行われつつあり、現状でも多くのビジネス分野で活用されているドローンですが、それは今後、物流業界でも大きな規模と化するでしょう。人手不足や交通渋滞などに悩まされる物流業界において、ドローン配送の実用化は大いに期待されています。そこで今回、ドローン配送について、仕組みやメリット・デメリットなどについて解説していきます。

《この記事でわかること》

1. ドローン配送とは
ドローン配送とは、ドローンを使用して商品を配達するサービスです。これまで商品の配送は、宅配トラックによる人の手で運んでもらうというのが通常でしたが、それが今後ドローンで行われるようになるのです。すでに海外ではドローン配送が実現している場所もあ離、日本でも実証実験が行われているのですが、安全性や法規制の問題もあり、広く利用されるのはこれからということになります。
ドローン配送に使用されるのは正式名称として「無人航空機」と呼ばれており、無人で遠隔操作または自動制御により飛行することができる航空機のことです。これを通称ドローンと言います。飛行機やヘリコプターなど人が搭乗する航空機は「有人機」に分類されるため、ドローンとは別物になるのです。これまでも、ラジコンヘリコプターというものがありましたが、これは目視により誰かが操縦しなくてはならないものでした。これと違い、ドローンはGPSやセンサーなどを搭載し、自動的に設定したルートを飛行できるようになっています。こうしたドローンの登場が、物流の問題を解決すると考えられているのです。
商品が消費者のもとに届けられる流れのことを物流と言います。物流は、ただ商品を運搬することだけを指すのではありません。物流の過程には、荷物の保管のほか、商品の包装といった一般的な配送とは関係のない項目も含まれます。地上では大体鉄道やトラックが利用され、他、船や飛行機で運ばれることもあります。このような物流に新たに導入されるのがドローンです。空を無人で飛べる小型の飛行機が、消費者の手に商品を届けます。ドローンはこれまで農業や調査といった様々な分野に導入されてきましたが、物流の分野でもその力を発揮することが期待されます。
2. 物流業界が抱えている問題
現在、物流において起こっている変化の1つが、宅配便の配達数の増加です。コロナ禍や情勢により、ネットショッピングが広く普及したことがその要因となっています。1つ1つの住宅に配達する荷物は小口で数が多く、運送業者への負担を大きくします。そこで人手不足の問題を引き起こしているのです。ネットショッピングはまだまだ拡大する可能性があり、解決が急がれているのが現状です。
また宅配便の配達数の増加で発生している問題は交通問題です。運ぶ荷物の量が増えると宅配トラックの数も増えてきます。そして交通渋滞が生まれてきます。商品を届けるまでのスピードも求められる宅配便では、深刻な問題です。荷物の増加、トラックの増加により交通渋滞を引き起こすと、指定した期日に間に合わなくなったり、届けるまでの時間が長くなってしまったりします。
また荷物の数が増えても、簡単に増やすことができないのがドライバーの数です。人手不足が、物流業界で大きな問題となっています。少子高齢化の傾向もあり、若いドライバーの数が増えていない状況です。運ばなければならない荷物の数が増える一方で、運ぶ人の数が減っていくという状況が続くけば、ネットショッピングを便利に使う社会が維持できなくなる可能性があります。
3. ドローン配送のメリット
ドローンはルートを設定することで自動で配達することができ、物流における、人手不足の緩和に繋がります。トラックを運転し荷物をそれぞれの住宅に届けるという行程が、ドローンによって自動化されるのです。小口の荷物が多いネットショッピングの宅配が増えている中、ドローンの導入で人手不足も解決できるのではないでしょうか。 また、ドローン配送は空を飛び配送をするというものです。ここから交通渋滞の解決にも繋がっていきます。トラックでの配送はコストも時間もかかり効率が悪いのが現状です。空には交通渋滞がありません。ドローン配送をする上で天候などの状況に左右されることもありますが、上空では直線的な移動が可能であることから、最短距離で荷物を届けることができます。
また、少子高齢化の時代に進んでいるのが、過疎地域へのドローン配送です。過疎化しつつある地域の方々は生活に必要な物資を手に入れるのさえ難しい状況が発生しやすくなります。そこで活躍するのがドローン配送となります。船を使わなくてはならない場所や自動車で向かうのが難しい場所など、難所において問題なく荷物を届けられます。
4. ドローン配送導入における問題
まずは安全面とセキュリティ面について。ドローンや荷物だけでなく、周囲の人や物に対する安全性も気にしなければなりません。地上とは違い、空は障害物が少なく安全ではありますが、ドローンが事故や不具合で墜落してしまう可能性は少なからずあります。例えばですが、警戒心の強い縄張り意識のある鳥は自分の領域に入ると何にでも襲ってきます。ドローン飛行の際も鳥が警戒して集まることが多々あるので、その時に鳥との衝突など起こりうる可能性があるのです。そして万一、ドローンが人間や家などに墜落した場合、重大な事故につながるということも不安視もされています。 ドローンを失う損失リスクはもちろんですが、それ以上に顧客の荷物を安全確実に届けるのは物流業者が最も重視すべき使命でもあるため、これは難しい問題です。 また、コスト面では、バッテリーが問題になってきます。ごく一般的に使用されているドローンの飛行時間は大体10〜40分ほどです。長い距離を何度も往復するとバッテリーの消耗は早く、交換する頻度も高くなってしまいます。利用客が支払う配送料にも関わってくるのではないでしょうか。 天候に左右されやすいのもドローンの弱点です。トラックなら問題がないような悪天候でも、上空を飛ぶドローンには多大な悪影響が生じます。雨、風、雷などに対してデリケートなドローンは、悪天候時には使用できず、安定的な物流を確保しにくいのがドローン配達のデメリットです。
5. まとめ
いかがでしたでしょうか。ドローンは物流業界においてとても重要な役割を果たしていくことは間違いなしです。ただ、ドローンを使用することでデメリットを解決する必要があります。現在、日本で多くの企業が実証実験を行なっております。今後の物流業界をより良いものにしていくために、更なる革命が起きそうです。そして、今後のドローンの活躍を期待していきましょう。
〜この記事のライター紹介〜
